たいむかぷせる2

何年か後に見なおして頭を抱えてくなるものたちのあつまり

会社が原則リモートワークになって3週間経った

はじめに

 2月17日に「そういえば明日から原則リモートワークね」と言われてリモートワークを開始してから,そろそろほぼ3週間経つ。なぜリモートワークになったのかは プレスリリース を見てほしいのだけれど,実際に「働く側」としてリモートワークをしてみてどう感じたのかを,少しまとめておこう。

リモートワークに対するイメージ

リモートワークというのは,その名の通り「Remote Work」であり,つまりは「オフィスではなく家で働く」ということになる。*1でも私は,あんまりリモートワークにいい印象を持っていなかった。 以前のインターンシップの記事 にも書いていたとおり,どうしてもコミュニケーションコストが高くなってしまうというのはわかっていた。そのため「しなければならないときに仕方なくするもの」というイメージがあった。
 そんなイメージを持ちながら去年の4月に新卒入社した。今の会社は前のインターンシップ先に比べて,リモートワークの環境がかなり整っていた。もちろん会社の問題というよりは,世の中がちょうどリモートワークの方向に寄ってきていたというのもあるのだろうけど。
 でも私はリモートワークはしたことがなかった。ざわざわしている環境はそんなに嫌いではないし,さまざまな環境が整っているオフィスよりも自宅で仕事した方がいい理由があまり見つからなかった。子育て中の人には人気の仕組みだったけれど,私はオフィスで働いた方が向いている人間であるらしかった。
 そんなわけで,いきなり「明日から原則リモートワークしてね」と言われて,正直困惑していたし,これで今まで通り成果出せるんだろうか,と不安だった。

リモートワークのための設備

 いきなりリモートワークはじめるぞ!となったとき,すぐはじめられる人はどれくらいいるんだろう。ちなみに私はすぐにはじめられない人だった。元々オフィスに出向いて仕事をする前提で近くのマンションを借りたし,なんなら自室にはオフィスデスクもオフィスチェアもなかった。実際に会社の人たちに聞いた話だと,オフィスデスクもオフィスチェアも固定回線もなかった,という人も多そうだった。
 オフィスと同じ設備はないけれど,いちおうごはんを食べるためのちゃぶ台はあったので,いったんそれで仕事できないかどうか試すことにした。実際にリモートワーク期間以前にも,出社する1時間とか,短時間のリモートワークはそのちゃぶ台で行っていた。
 だいたい想像がつくと思うけど,ちゃぶ台で毎日仕事をするのは無理があった。どうやっても2時間くらいで腰が終わりを迎えてくる。ストレッチや昼寝でごまかしていたけれどさすがに無理なので,オフィスデスクとオフィスチェアを購入することに決めた。
 机とイスには金をかけろ,どこかで聞いたけれど,実際にはAmazonでそれぞれ5,000円くらいのものを買った。耐久性に問題があるのかもしれないけれど,今のところは問題なく業務ができている。

会議とかツールの話

 予想していたとおり,リモートワークになることで業務が大きく変わるか,というとそんなことはなかった。私はエンジニアなので業務の時間の多くはキーボードを叩いてコーディングをしている時間になるし,主にSlackでコミュニケーションを取るというのはなにも変化がなかった。
 変わったことといえばミーティングがすべて Zoom になったことだろう。そりゃ対面のミーティングの方がいいに決まっている,と思っていたが意外と悪くはなかった。きちんと表情を見ながら話せば,100%とはいかないまでも非言語的なコミュニケーションも行える。
 オンラインミーティングならではの利点もあった。全員で画面共有できるためスライドを作る必要がなく,GoogleDocsを共同編集する形で資料が完成するのはとても便利だった。今まではミーティングを設定したりリスケしたりしようとすると会議室が足らない,という問題があった。けれどオンラインミーティングなら参加者のスケジュールさえ合わせておけばミーティングをいくらでも開くことができる。具体的なツールのあれこれに関しては会社の技術ブログに詳しい。

すべての人にリモートワークが向いているか

 リモートワークがはじまった頃は「最高だしすべてのはたらく人がリモートワークすればいいのに」と思っていたけれど,今になってみると「やっぱりそうではないな」ということに気づいた。最初はリモートワーク楽しいと思っていたけれど,ただ単に新しいモノが刺激的だっただけだといえる。
 やっぱりどうしてもリモートワークは生産性が落ちる。今リモートワークでじゅうぶんに成果を出せるかどうかは,じぶんの仕事のフェーズにも大きく依存する。ある程度やることが決まっていて,あとは実装だけ,というフェーズの仕事であればリモートワークで成果を出すのはそこまでむずかしくないだろう。けれど分析を進めたり関係各所に話を聞きに行ったりして「やることを決める」フェーズの仕事でリモートワークをするのは,とてもむずかしく思えた。ちょっとこれ聞いてもいいですか,とかちょっとペアプロしてくれませんか,みたいなことはオンラインだと頼みづらい。
 生産性が落ちてしまう割に,オーバーワークになってしまう,という問題もあった。生活と仕事とが密接に結びついているため,意識的に区切りをつけないと,いつまでもずるずる仕事をしてしまう。もともとフレックスであったというのもあり,強制的にこの時間になったら仕事を終わる,といった仕組みを設けておかないと,無限に仕事をしてしまう危険性があった。
 幸い私はそこまで困難なくリモートワークができているけれど,これは周りの人とオフラインでの対面のコミュニケーションを積んできたからこそだろう。入社したり異動したりして急にリモートワークになってしまった人はきっととても大変なはずで,そういう人たちへのフォローはやはり「対面」ではないとむずかしい。今リモートワークがうまくできているのは,ただラッキーなだけ,ということを忘れないようにいたい。
 そのため今後COVID-19が収束したあとも,今までうちの会社がそうであったように「希望者はリモートワークができる」といったふうに,選択可能にするのがもっとも好ましくみえる。リモートワークでここまでうまくできるならオフィスいらないでしょ,といった議論はきっと短絡的すぎて,自らがラッキーであったりじぶん以外が心遣いをしてくれていることを忘れている。そんなわけで,これからも私はなるべく出社したいけれど,週1か2回くらいはリモートワークしてもいいかな,くらいになりそうだ。
 また,ずっと家にいることで,何気ない冗談や会社のフリードリンク,窓からの景色やちょっとした散歩が,どれだけかけがえのないものだったのかがわかった。クマさんデバッグ,という言葉にもあるけれど,ずっと机に向かってひとりでうんうんうなっていても,なかなか解決法は思いつかない。日々の暮らしの場所が固定化してくるからこそ,適切な気分転換をしていくことが大事になっていくんだと思う。

料理が捗る

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リモートワーク中に作った自炊たち

 リモートワークが続いて,たくさん自炊ができるようになった。今までは昼食は会社で作ったり外に食べに行ったりして,主に夕食を作ることが多かった。しかしリモートワークになったことで,ほとんど毎食自炊をすることができるようになった。それにより,材料が余るのを気にしなくてよくなったのはとても大きい。
 今までならば人参は使い切れないなとか,ごはんを炊いても食べきれずに余ってしまうとか,主に材料について気を遣うことが多かった。しかし今は野菜が余ればみそ汁やスープにしてしまって次の日も食べればよく,好きな材料を買ってどんどん料理が作れるためとても楽しい。この部分に関しては書きたいことがたくさんあるので,また別の機会に具体的なレシピも合わせて記事を書こうと思っている。

さいごに

 少なくとも会社としては今月いっぱいはリモートワークが続くそうで,まだまだ先は長いなあという想いがある。けれどせっかくの機会なので,自炊がとても楽しくなったように,なるべくならいいことを見つけていきたい。COVID-19がいつ収束するかはだれにもわからないけれど,各団体のさまざまな取り組みはすばらしく,みんなでこれを乗り越えていけるといいなあ,とも思っている。
 近況報告としては,前回の記事で書いたとおり,これから2つのメディア*2でライターをすることになりそうだ。ひとつはエッセイ,もうひとつはインタビュー記事と,まったく違うジャンルの記事を書いていくことになる。不安はとても大きくて,実際にこの記事を書く中でも「じぶんはこんな記事でお金をもらっていいんだろうか」といった考えが頭から離れなかった。そのためこの記事を書くにも,いつもよりほんとうに長い長い時間がかかった。
 うれしいことにさいきん私の文章のことをほめてくれたり,好きだよと伝えてくれたりする人が増えてきた。それはとてもうれしいのだけれど,そんな中でも,こんな文章でいいんだろうか,という疑念は晴れそうにもない。とはいえ文章を書いてお金をもらうプロである以上,そんな甘えたことも言っていられない。こういう疑念は,文章を書き続けていって自信をつければ,いつかはなくなっていくんだろうか。今回の機会がじぶん自身をぐっと成長させてくれる,いい機会になればいいと思っている。おわり。

*1:COVID-19対策のために,カフェやコワーキングスペースでの業務は推奨されず,基本的には自宅で働くこととなっていた。

*2:公開できそうになったら公開する予定。